Research

アミロイドは、ペプチドやタンパク質が自己集合してできた繊維状の構造物で、βシートが繊維軸に対して垂直方向に配列したクロスβシートを立体構造上の特徴とします。私たちの研究室では、アミロイドを(1)つくる、(2)壊す、(3)活かす研究を進めています。(1)つくる、(2)壊す、(3)活かす研究は、それぞれ、「神経変性疾患の発症メカニズム解明」、「神経変性疾患の治療法開発」、「医薬品合成などの物質生産手法の創出」につながります。具体例として、(1)に関しては、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、前頭側頭型認知症(FTD)などの神経変性疾患の原因となる414残基のTDP-43を半合成することで、翻訳後リン酸化が自己会合に与える影響を明らかにしました(Commun. Chem. 2025)。(2)に関しては、化学触媒によって酸素化されたアミロイドが脳内で分解亢進されることを見出しました(東大薬との共同研究、Sci. Adv. 2021など)。(3)では、アミロイドに結合する化合物(基質)に連結したアミノ基がアミロイド触媒に近接することで活性化され、通常は困難な酸性緩衝液中での求核的修飾反応が促進されることを示しました(PNAS. 2024)。また、アミロイド-基質複合化に基づく本手法は、酵素触媒反応に新たな位置選択性を付与することができました(Nat. Commun. 2025)。